0.1mmのこだわりを
「0.1mmのこだわりを」
それを聞いたのは2011年の初春。
その日が私が初めて氏と会った日であり、氏がまだNORIEIブランドを立ち上げて間もない頃である。
氏とは株式会社律栄の酒井伸樹代表。
そう、シューズブランド”NORIEI”のファクトリーの代表であり靴職人である。
この言葉が私の心に響き、揺れ動いたのを今でもはっきりと覚えている。
俗にいう雷に打たれた様な感覚である。そして、一種の使命感と、何者でもなかった自分の存在意義まで感じることができた。
それから直ぐにブランドに携わることになり、突き動かされる様に、微力ながらも様々な事を進めていった。その中で、職人達の熱い想いを自分が代弁者となって同じ熱量で直接ユーザーに伝える必要性を感じた。
その気持ちを自分の仲間達に伝え、共感してもらい、その場所を作る事を決意し、彼ら(※2)と一緒にセレクトショップをオープンさせる。
2012年3月17日ショップコンセプトは
「0.1mmのこだわりを」
0.1 = 1/10
1/10 = ONE TENTHの始まりである。
そして気がつけば今日で10年が経った。
本当に気がつけばという表現である。
0.1×10年=1ようやく1になれただろうか。
ここに至るまでに様々のことがあり、本当に沢山の方々にご協力やお力添えを頂き、時にはご迷惑もお掛けした事も。
「ありがとうございます」
心からの感謝と、反省も合わさった気持ちである。
これからも少しずつでも皆さんに恩返しができる様、前に進んで行く事を改めて決意。
一歩ずつ、いや0.1歩ずつ。
2022年3月17日
株式会社リガメント(LIGAMENT Inc.)
代表取締役 高梨 太郎
※1
氏が話した内容をもう少し説明すると、革を手で裁断する際に、線を引きそれに沿って裁断をするのだが、その線の内側か外側どちらで裁断するかによって完成されたシューズの見た目の美しさや、履き心地など大きく変わるという。実際にはそれを感じれる人はほぼ皆無で、作り手(職人)しか分からないような、時に0.1mm程度の差であったり、言語や数値化できない本当にごく僅かの小さな差に拘り物作りを行っているという事。それは自分の人生観である事を認識した瞬間でもあった。
※2
仲間というのは、現ONE TENTHショップマネージャーである松本浩治と今は独立して別会社で活躍している山根慎吾。改めて二人にも感謝の気持ちである。「ありがとう」